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アニマルメディカルケア鵠沼病院

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診察事例
Case

日々の診療は多岐にわたります。
その中でいくつかの症例をご紹介させて頂きます。

眼科

SCEEDs(自発性慢性角膜上皮欠損症、難治性角膜潰瘍)

 ある日眼がしょぼしょぼしているので病院で診察してもらったら、眼に傷が入って染色液で染まってますよと言われたことはありませんか?
 
 角膜の傷は染色液で染まるため簡単に診断を下すことが出来ます。ただし何故その傷が出来たのかが非常に重要なのです。ぶつけて傷が入ったという事もないわけではないですが、私の経験では意外と多くはありません。逆に言えばはるかにそれ以外の原因の方が多いのです。
 
 今回紹介しました『自発性慢性角膜上皮欠損症』は別名『SCEEDs』とも呼ばれ、点眼治療だけではなかなか治りづらい病気です。角膜の傷は治りづらいイメージをお持ちの先生もいるとは思いますが、単純な傷なら細菌感染さえ気を付けていれば数日で治ります。広範囲な角膜の傷でも1週間で染色液が染まらないくらいに回復します。ところがこの『自発性慢性角膜上皮欠損症』は適切な処置を施さないと、1カ月でも2カ月でも染色液に染まる傷が残り眼の痛みが改善しないのです。
 
 それではその病態を説明いたします。角膜はコンタクトレンズのように一つの構造物ではなく、本で例えれば表表紙に相当するのが角膜上皮、本のページに相当するのが角膜実質、裏表紙に相当するのがデスメ膜・角膜内皮で構成されております。この『自発性慢性角膜上皮欠損症』は角膜上皮と角膜実質が本来接着しているのですが、その間に無細胞の硝子膜が形成され接着できず浮いている状態です。芝がコンクリートまで伸びても根が張れないのと同じです。
 
 診断は局所麻酔の点眼後に染まっている辺縁が症例写真のように剥がれるかどうかですぐ判ります。
 
 治療は眼科用のダイヤモンドバーによる表層角膜切除術や注射針を角膜に浅く刺す点状角膜切開術、なかなか治らない症例に対してはメスで角膜に縦横の切れ込みを入れる格子状角膜切開術などで硝子膜を壊して角膜上皮と角膜実質の接着を促す方法が行われます。
 
 治療は数回行なう事が多く、処置に反応しているかどうかは5-7日後に判定するため、治療期間に関しては半月~1カ月かかる場合もあります。点眼治療だけではなかなか治らないため注意が必要です。


 

角膜の傷の周囲を綿棒等で剥がすと角膜上皮が剥がれてきます。これがこの病気の特徴です。

角膜を削るための眼科専用のダイヤモンドバー

注射針を曲げて角膜に刺しやすくします

角膜に注射針で刺した跡(赤い矢印)。この後順調であれば 1週間ほどで治ります。まだ駄目な場合はこの処置を繰り返し行います。